Blog「星の光」

(2025年3月30日)

No.103 古代文字「新」 新木を伐る

古代文字「新」

「辛」と「木」と「斤」とに従う。「辛」は針。新木をとる時、木をえらぶのに矢を放ち、辛をうつなどする選木の儀礼があって、神に供すべきものを定めた。
「新」とは、新死者のための神位(→宗廟に祀るお位牌のこと)を作る意で、その神位を持って祭られるものを「親」という。「親」の字形は、その神位を拝する形である。と『字統』では説かれています。(「親」の古代文字は、この「新」を屋根で囲んだような字形です。近いうちにまたUploadしてみます)
さらに白川先生は、『説文解字』で、「新」が「木を取るなり」とあって、薪の義(→儀礼の儀ではない義)と解しているようであると紹介していますが、卜字(→ぼくじ。占いに用いた甲骨文字のこと。甲骨文、甲骨文字、契文、神託文字などともいう。)では新廟、新宗、新家などの語が見られ、いずれも寝廟(→寝は人のいる所、廟は神や祖霊、貴人の霊を祀る所)に関したもので、薪に用いた用例はないと述べています。
中国の古い書物の用例からは、採薪の俗(→ならわし)も、神事や婚礼の儀礼に関して行われており、その入山の儀礼も、厳粛なものであったとのこと。また別の書物を根拠に「新は神意によってことを新たにする意に用いる」とあります。

説明が難しいので、(→簡単な説明)を加えてみましたが、いずれにせよ、奥が深い字源で、「新」という文字から、木の存在や木を伐るという行為が、古代の人々にとっていかに特別なことであったかがわかります。
少し前の2回のBlog(No.92とNo.93)で紹介した、1300年続く伊勢神宮の「式年遷宮」のことを思い出します。
遷宮とはお社を建替え、ご祭神にお遷りいただくもので、伊勢神宮では20年に一度、お社の建替えの遷宮諸行事とさまざまな儀礼が、そのクライマックスの神様のお引越し「遷御の儀」まで9年間をかけて行われることを紹介しました。
Blogでも書きましたが、9年間にわたる式年遷宮の33の諸行事・諸儀礼は大きく3つ「ご神木のお祭り」「社殿建築のお祭り」「神遷しのお祭り」に分けられます。その最初の行事が、10の「ご神木のお祭り」で、その中でも新宮の御用材を伐り出すに当たって、御杣山(みそまやま)の山の口に坐す神に伐採と搬出の安全を祈る「山口祭」からスタートしています。
「新」の字源を調べてみて、一層、木の伐採からスタートする遷宮の諸儀礼・諸行事の意味を味わえたような気がしました。

母方のルーツは、実家から車で1時間くらいの山村にあって、先祖代々山で木を育てていました。
祖父は山仕事に出かける時、よくお酒とお塩を持って行きました。
残念ながら、お酒やお塩を使う場面を見たこともなく詳しく聞いたこともありませんでしたが、今思えば、伐採の神事の一つだったのでしょう。

お米もお野菜もお茶も作っていたので、私の家で食べるものほとんどが祖父の家で収穫されたもので、とても美味しかったです。実家も祖父が育てた木で建てた木造の家、屋根には杉皮を丁寧に敷いてから瓦を葺いてもらいました。

祖父母の家には、子供の頃からよく遊びに行き、たまに枝払いなどの山仕事に連れて行ってくれたのがすごく楽しかった思い出です。
仕事を終え、山から降る途中で、育てている原木椎茸を採って、ゼンマイや蕨やふきなど山菜も採りながら降ってきます。
さらに下の方に行くと段々畑のようになっていて、ジグザグに降りていく途中で雨が降ってきたことがあるのですが、ちょうど里芋畑のところで、祖父がその大きな葉っぱをヒョイととってくれて、傘がわりにさして帰りました。
昭和の中山間地域での暮らしは、今から見たらナンセンスな伝統としきたりも多く、極めて不自由不便で、そこに住むのは大変だったでしょうが、時々遊びに行くだけのお気楽な立場でいられた私には、おじいちゃんの家がトトロの世界そのまんま。
「まっ黒クロすけ」も本当にいるんだょと教えられていました。
時間を忘れるような山の中での楽しさと、土間のお台所に五右衛門風呂、おどろおどろしい巨大な仏壇や、お化け屋敷のような蔵や納戸や開かずの間🥶
ちょっと怖くてすごく楽しくて不思議な思い出たくさん。

残念ながら、祖父母の家や山、田畑で撮った写真がまったくありませんが、今思えば、特別ではない日常に貴重なシーンがいっぱい…大人になってからの思い出よりも鮮明な思い出がたくさん心に刻まれています。
時々思い起こして深呼吸✨

写真は、祖父の家のお話とは関係ないですが、珍しい木、新宿御苑のラクウショウと明治神宮神苑の清正井戸の脇に自生していたゼンマイです。

明治時代に植えられた樹齢100年を超える「ラクウショウ」(スギ科落葉針葉樹)の新緑とその「気根」
「気根」(きこん)とは、植物の茎や枝から発生して空気中に伸びる根っこのことです。
空気中の水分や養分を吸収し、植物の成長を支える役割を担っているそうです。

明治神宮神苑のゼンマイ

今日はY’s universeはゆるグダライブ。
生活改善とか何らかのテーマが明確な普段のライブと違って、ゆるゆるぐだぐだ笑えるライブ😆です。
とはいえ、吉濱先生と会員がチャットでやり取りする中で、会員からの質問への回答が本来は有料もののすごい情報だったりして、ありがたいです。瞑想もあります🕯️

今日のおやつ✨
九段下の宝来屋の和菓子、連続になりましたが、一昨日買った最後の1個
「花衣」と言う名前の上生菓子でやはり桜の花の季節限定。

いわゆる「練り切り」なので、買ってきてすぐ密封容器で冷凍保存✨
いただく2〜3時間くらい前に冷凍庫から出しておくと普通にいただけます。

和菓子は、水分の多いものを「生菓子」、少ないものを「干菓子」と呼びますけど、「生菓子」の中でも「練り切り」は「上生菓子」に分類されるもので、お茶席の主菓子としていただいたりするお菓子です。
練り上げたあんこで、季節のお花など、折々の季節感を楽しめるものに細工するので、お菓子のアートとも言われたりすることもある創作和菓子。見ているだけでも幸せになります。

それから、ちょっとお茶の代わりに、
野菜出汁とお塩で玉ネギを煮詰めたスープ✨

おつかれさまです。
きょうもありがとう😘