





甲骨文字「申」(さる)
電光の走る形の象形文字。電光が斜めに屈折して走る形で、屈伸の意がある。それが天神のあらわれる姿と考えられた。後に申が多義化して「神」が作られたので、「申」が「神」の初文。『字統』より。
毎日、散歩をしていますが、先日はめずらしく時間をかけて、外苑前あたりから日枝神社まで足を伸ばしてみました。
山王の星ヶ岡、高層ビルの間にある、「山王さん」と呼ばれている皇城之鎮・日枝神社です。
御祭神は、古事記にも登場する「大山咋神」(おおやまくいのかみ)。
神使(しんし)は夫婦のおサルさん。本殿の手前両側に雄猿、雌猿の「神猿像」(しんえんぞう)が祀られています。
(神使とは、神様の使いの動物。八幡さまの鳩や春日さまの鹿など。出雲の龍蛇は、大国主大神さまの神使。)
日枝神社には境内末社の「猿田彦神社」があり、「猿田彦大神」(さるたひこおおかみ)も祀られています。
猿田彦大神は、古事記のほか日本書紀にも登場する神様。
天孫降臨の際に天照大神の命を受けて瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を高千穂に導いたことから「みちひらきの大神」と呼ばれています。
冬至の翌日、ちょうど庚申(かのえさる)の日で、「庚申祭」で賑わっていました。
庚申の日は、暦の上で2ヶ月ごとに巡ってくる日です。
境内末社「猿田彦神社」では、この日に特別の「みちひらき」の祈願があり、庚申の日限定「申の日おみくじ」を授かることができます。
普段は、神社でおみくじを引くことはありませんが、猿田彦大神が好きで、めずらしく引いてみようかなという気になりました。
御社の前まで入れていただき、御神職によるお祓いと、巫女さんによる祝詞奏上の後、巫女さんがおみくじを引いて授けてくださいました。
「第9番 大吉」👏
願い事ほぼ理想通りに叶うでしょう😭
めったに引かないおみくじなので、とても嬉しかったのですが、そもそも「おみくじ」って何でしょう。
神社本庁の公式サイトには、「おみくじ」は、「個人の運勢や吉凶を占うため」に用いられると書かれています。大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶という吉凶判断、金運や恋愛、失物、旅行、待ち人、健康など生活全般にかかわる導き、また、生活の指針となる和歌などを載せているものなど、色々あります。
このような、個人の生活の指針や運勢を占うかたちの「おみくじ」が見られるようになったのは江戸時代頃からだそうですが、「おみくじ」の起源について、「そもそも占いとは、物事の始めにあたって、まず神さまのご神慮を仰ぎ、これに基づいて懸命に事を遂行しようとする、信仰の表れのひとつ」ともいえると説かれています。そして、「小正月などにその年の作柄や天候を占う粥占神事(かゆうらしんじ)や、亀の甲羅を焼いてそのひび割れ方を以て吉凶を占う亀卜(きぼく)」などもそのひとつとして例示されていました。
この後者の、亀の甲羅占いで刻まれた文字が、古代文字の一つ「亀甲獣骨文字」、通称「甲骨文字」。このサイトでも紹介している漢字のルーツの占いです。牛の肩骨にも同じ占いの文字が刻まれているのは、亀の甲羅が希少で手に入りにくくなったからだときいたことがあります。
さて、こんな「おみくじ」とのかかわり方ですが…。
以前、テレビで、初詣の時期には「大吉」と「吉」増量、「凶」は減量どころかほとんど入れない。だから、もしあなたが「凶」を引き当てたら、それはものすごく「強運」です!!とナレーターが力説していました。
実際のところどうかはわかりませんが、やっぱりおみくじで過剰に一気一憂せずにほどほどに…望ましい占い結果が出ても出なくても、自分なりによりよい方向に活かせるように受けとめられれば良いなと思います。
目に見えない存在は、いつも私たちのそばにいて、無条件により良いことを願ってくれている気がします。
沈んでいる時には励まして、喜んでいる時には一緒に喜んで、いつも見守り、幸せだけを願ってくれる。
それを思うと、「申の日おみくじ」のご利益⁉︎というのは、願いが実現する・しないの次元ではなく、すでに十分ありがたいという感謝の気持ちを思い起こすための、神使のおサルたちの「大丈夫!」というエールだと感じるのでした。
そして、「神使」という存在は、現実に目には見えませんが、具体的に知っている「動物」のカタチを通して、神さまという遠くて見えない存在との間を縮めてくれているような気がします。
しばしば文字も、見えないものと見えるものをつなぐかたちのような気がしているのですが…。
最初の文字を象った古代人たちにも神使たちにも感謝。
最後に一首・・・
「キャッキャと申の日みくじの相談ごと 神使のお猿と選ぶは大吉」
(Hoshi no Hikari)
優しい神使のおサルさん夫婦に感謝!!
神猿像・本殿向かって左側の雌猿
赤ちゃんザルを抱っこしています。
神猿像・本殿向かって右側の雄猿