Blog「星の光」

(2025年1月1日)

No.27 古代文字「巳」初詣と神の紋様「二重亀甲剣花菱」

甲骨文字「巳」
蛇の象形。

今日は元旦です🎍
早起きして、「出雲大社東京分祀」に初詣に行ってきました。

家から徒歩圏内にたくさんの神社があります。
毎日のお散歩途中に参拝したり、神社を目指して折返してきたり。
時々散歩コースを変えて、昨年はたくさんの神社にお参りしました。

ここ数年、東京でお正月を迎えています。
氏神さま以外に、明治神宮や日枝神社にも初詣に行くことが多いのですが、このところBlogで何度も出雲のことをネタ!?にさせてもらっていたので、これはやっぱり…あそこに行かねば…という気になって、徒歩で片道40分弱、六本木ミッドタウンにひっそりと鎮まる出雲大社東京分祀に行ってきました。

2025年1月1日撮影

ちょうど、「元旦祭・初神楽祭」という1年の御守護と和楽豊栄を願う御祈願があり、参列させていただきました。
祝詞の奏上や神楽舞で、ありがたい時間を過ごしました。

出雲大社東京分祀は、日頃の散歩でもたまに立ち寄っていましたが、最近、Blogで出雲に意識を向けていたせいか、今日の御神前は以前よりもずっと身近にあたたかく感じられました。

一昨年、テレビを断捨離して、特番が醸し出す「THE お正月」という雰囲気とは無縁になりました。
正月飾りやお屠蘇、お雑煮、お節料理などの準備もしなくなったのですが、
神事の後に御祭主が、「出雲の神様は、セグロウミヘビという蛇「龍蛇」を遣いとして持っておられますが、蛇の巡りの年にようこそお参りくださいました」という言葉がとても優しく心に響きました。
「蛇」は金運の干支とはいえ、キャラとして少しひるむのですが、「蛇の巡りの年」という表現がキレイで、これまで以上に「蛇」に親しみが湧いて、静かに新しい年の訪れを感じたのでした。

出雲大社は60年に一度、遷宮で本殿の建て替えをしますが、ちょうど12年前の巳年に平成の大遷宮がありました。
次の御遷宮は48年後。やっぱり巳年です。
すでにBlogで「龍蛇」と今年の干支「乙巳」(きのとみ)のことは書きましたが、
新しい巳年の新しい「龍蛇」を書きたくなりました。
(cf. Blog No.4 出雲の神使「龍蛇」の神さま/No.11 幸と富の「乙巳」)

今年の書き初め「龍蛇」です。

古代文字「龍蛇」
龍は、蛇身の獣の象形。頭上に辛字形の冠飾をつけて、霊獣を示している文字。
蛇の它はヘビの象形。

ちなみに、出雲大社には、下の写真のような御神紋があります。
この紋様を「二重亀甲剣花菱」(にじゅうきっこうけんはなびし)といいます。

セグロウミヘビの背中には、六角形のウロコの紋様があり、それは出雲大社の御神紋と深い関係があるようです。『龍蛇神様のおはなし』(出雲大社東京分祀発行)に、次のようにこの紋様のことが書かれています。
短い文章に、奥深い意味が詰め込まれていて、抜粋が難しいので、ちょっと長いですがそのまま引用させていただきます。

御神紋「二重亀甲剣花菱」
「セグロウミヘビには首の後ろの中央に六角形の鱗の文様があり、それは出雲大社の御神紋である二重亀甲剣花菱」に通じます。六角形は「六合」(りくごう)、つまり「東西南北と天と地」の六方を意味し、あまねく世界すべての象徴です。大神さまの御神威が広大無辺であることの顕れです。さらに亀甲は「亀」が瑞兆の動物であることは言を俟(ま)ちませんが、四神思想における「玄武」にも通じるものと解せます。
玄武は北方を守護し、色では黒を、五行では水を司りますが、北も黒も水も、陰陽でいえば陰気に近しく親しく、「死」の概念をも内包します。「国譲り」によって目に見えない世界である「幽世」(かくりょ)を司る神となられた大国主大神の御神紋として実に相応しい意匠です。加えて、亀甲は古くから占卜(せんぼく)にも用いられますので、目に見えぬ世界からの神意・神慮を、目に見える世界へと顕現させる、本教で申しますところの「幽顕一如」(ゆうげんいちじょ)、我々がすむこの目に見える世界は、常に目に見えない世界からの恩恵によって支えられているという世界全体の理をも表象しています。大国主大神さまは神話の時代に我々人間にさまざまな知識や技術や文化を授けてくださいましたが「占い」もまた、大神さまが我々に授けてくださったもののひとつです。…」
『龍蛇神様のおはなし』(出雲大社東京分祀発行の小冊子)pp.4-6より、御神紋「二重亀甲剣花菱」の節を転載させていただきました。

ということで、
文字だけでなく、やはり紋様の世界にも神秘的で奥深い意味があるのですね。
この文章に出てくる、「亀甲は古くから占卜(せんぼく)にも用いられます」というのは、亀甲獣骨文字=甲骨文字が刻まれた亀の腹甲を使った占卜、つまり占いのことです。
占卜に用いられた亀甲獣骨文字を卜辞(ぼくじ)とも言いますし、神への質疑応答の記録と表現されることもありますが、「目に見えぬ世界からの神意・神慮を、目に見える世界へと顕現させる」という御神紋の説明が、占卜と卜辞のつながりともダブって、文字や意匠(デザイン)は面白いなと思いました。

2025年1月1日撮影
初神楽祭で昇殿の時に御神職の許可を得て神紋を撮影

出雲大社発行の「いづも暦」の表紙にも
御神紋「二重亀甲剣花菱」(にじゅうきっこうけんはなびし)

 

今日は氏神様にもお参りに行ったのですが、境内の外まで参拝客が延々と並んでいまして、スゴスゴと帰ってきました!!